1.神経系の疾患

1.神経系疾患

1)頭痛

  
  片頭痛
[ 原因] 種々の原因で脳内の血流がアンバランスと成り、片側の一部の血管が膨張すると、それを取り巻く神経が過剰反応し痛みを発生します。下図に片頭痛の脳内血管膨張のモデルを示します。
[ 症状] 視覚障害(閃輝暗点)や運動障害(手足のしびれ)や自律神経症状(悪心、嘔吐)などの前駆症状がみられる事もあります。頭痛はこめかみから目にかけての一側性で、ズキンズキンと脈を打つような痛みが4、5時間続きます。女性に多く見られます。
[ 施術]  側頭部(懸顱、懸釐、頷厭)後頭部の経穴、並びに(風池)/首(天柱)/肩(肩正)の経穴に刺鍼し、その部分の筋肉の緊張を緩め頭部へ流出入する血流の流れを改善します。場合により低周波電気鍼を施します。また、頭部、頸部の後柔撚も有効です。更に、副交感神経を優位にする呼吸法を実施する事で改善が促進されます。

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        片頭痛の模式図                       片頭痛の治療穴 
    
 緊張性頭痛
[ 原因] 精神的な緊張が続いて頭頚部の筋肉が持続的に収縮すると、内部の血管の血管壁を走行している感覚神経線維を変形させてNa+を流出し興奮させ痛みが発生します。また、持続的な筋肉の収縮で乳酸、ヒスタミンが蓄積され、同様に痛みを発生します。
[ 症状] 痛みの頻度は、毎日~十数日に一回で、痛みは30分~一週間ほど続きます。痛みは両側性、頭部全体、後頭部に圧迫感、締め付けられるような感じになります。また、眼精疲労、肩こり、全身倦怠感の随伴症状も伴うことがあります。
[ 施術]  首、肩の筋肉の緊張を緩め頭部へ流出入する血流の流れを改善する施術を行います。下図に頭皮への血流の流れを示します。後頭部(風池)/首(天柱)/肩(肩正)の血流に沿った経穴に鍼針、置鍼し、場合により低周波電気鍼を施します。更に、頭部、頸部の後柔撚も有効です。また、交感神経が優位の患者様には、呼吸法を指導し改善効果を上げています。

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頭皮への血流の流れ        関連する筋肉            緊張性頭痛の治療施術点

2)顔面・三叉神経麻痺

 
    顔面神経麻痺
[ 原因] 一側性の突発性で不規則な顔面筋の攣縮が起こります。中年、特に女性に多い疾患です。加齢により動脈硬化が進行し、その動脈が蛇行し顔面神経を圧迫することによりおこるとされています。
[ 症状] 眼輪筋の微細な攣縮から始まり、徐々に半面の顔面筋に拡散して不規則な攣縮が起こります。特に、口元付近の攣縮が最も多く見られます。
[ 施術] 顔面神経の刺激を目標としてその経路の経穴(下関、聴会、翳風)を施術するとともに、顔面の表情筋の改善を目的として、その支配筋肉の経穴(下関、地倉、人迎)を施術します。特に低周波電気鍼の併用が有効です。

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顔面神経            顔面神経麻痺の治療穴

 
    三叉神経痛
[ 原因] 三叉 神経支配領域で、焼かれるような、またはナイフで切られるような激痛が起こる。発祥年齢は50~60歳台に多く、また女性の方が多い。加齢により動脈硬化が進むと、動脈が徐々に蛇行して、血管が三叉神経と接触圧迫し神経が興奮するためとされている。冷たい風に片側だけ長時間あたるなどで誘発されることがあります。
[ 症状] 電撃が走るような、ナイフで刺されたような、またえぐられたような激痛が発作的に起こり、数秒から数分続き、またその発作が反復します。疼痛時に、顔面の発赤、結膜充血、流涙を伴うことが多いです。
[ 施術] 顔面の三叉神経支配領域、眼神経、上顎神経、下顎神経の周辺の経穴、特に下関、聴会、翳風 刺針施術します。低周波電気鍼の併用が極めて有効です。

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三叉神経の経路           三叉神経痛の治療穴

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3)自律神経失調症

 
 
   交感神経過剰(ストレス傷害、不眠)
[ 原因]  下図に交感神経の過剰から起こる疾患を示します。過度のストレスでアドレナリンが過剰と成り、血管収縮による血流障害また、顆粒球の増大&リンパ球の減少による免疫力の低下が原因で種々の傷害を引き起こします。
[ 症状] ストレスにより交感神経の緊張が持続すると、胃潰瘍、ガン、糖尿病、リューマチなど組織破壊の疾病症状が現れます。また血管収縮が起こり、肩こり、頭痛、高血圧、心疾患が現れます、更に不眠、イライラなどの精神的疾患症状が現れます。
[ 施術] 鍼施術は基本的に、自律神経に作用し交感神経の過剰を押さえる効果があります。上肢並びに背部への施術が効果的で、上記の症状を改善できます。また、呼吸法の改善も効果が大きく、特に吐く時間の長い呼吸を習慣にすることで、改善が図れるため併せて呼吸法の指導を行います。
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  交感神経の過剰から起こる疾患
 
 
   副交感神経過剰(うつ、倦怠感)
[ 原因]  下図に副交感神経の過剰から起こる疾患を示します。副交感神経が過剰になると、アセチルコリンが過剰と成り、血管を拡張し頭痛、うつ症状を引き起こす。また、リンパ球が増大しアレルギー症状が起こり、プロスタグランジンの増加で知覚神経が過敏となり皮膚疾患を起こします。
[ 症状] 副交感神経が過度に過剰になると、うつ、倦怠感の症状が現れます。また、くしゃみ・鼻水などのアレルギー疾患、皮膚のかゆみなど副交換刺激支配で、種々の皮膚疾患に現れます。
[ 施術] 鍼施術は、自律神経に作用し副交感神経が余りにも過剰で”うつ症状”の方には、逆に、副交感神経を下げて自律神経のバランスをとる作用があります。下肢並びに腹部への施術が効果的で 、上記の症状の改善が図れます。更に、正しい呼吸法の指導を行い症状の改善を図っています。
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  副交感神経の過剰から起こる疾患